風土木の家 かわら版 椽大

仲間たちのコラム 椽大(テンダイ)
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VOL.11 大丈夫ですか

 2010年もすでに4分の1が過ぎた。
秒針の動きも地球の動きも、昔と同じとは思えないほど早い。
小学生の頃、夏休みは永遠と思えるほど長かった記憶がある。
今ではひと月やふた月ぐらいあっという間に経ってしまう。
あせっている。
家づくりを職業として選択してから20年あまりが過ぎた。
その当時と比べると、住宅産業はずいぶんと変化した。
建築基準法は女心のように複雑に変化し、ハウスメーカーやパワービルダーはどんどんずんずん土足でやってくる。
我々、繊細な工務店はいつもやられっぱなしだ。
CO2の削減、自然素材、住宅エコポイント、なんだかもっともらしくて、得しそうな言葉が並んでいる。
大丈夫ですか。
そもそも排出権取引って何なのでしょう。
自然素材って安全ですか。
エコって何ですか。
オール電化って誰が得するのですか。
大丈夫ですか。
 人の感覚や感情とはまったく無関係に地球は回り自然や物理現象は冷酷に我々をいためつける。その自然から身を守る事が住宅に最初に与えられる、大事な役割だ。
地震や、台風、冬の寒さ、花粉、黄砂、・・・敵はいろんな所にいる。
まずはその敵どもを手玉に取ろう。
そして、その上でいい家をつくる。
家はいうまでもなく、人が住むところだから。
プロとしての経験と信念とそしてそれを裏付けるデータを懐に今日も工務店のおっちゃんは現場へ向かう。
そこに住む人の笑顔を思い描きながら。

                      (岡部工務店/岡部善幸)
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v0l.10

   
    VOL.10 2009-5-17      

 大変めまぐるしい世の中である。北朝鮮のミサイルがあったかと思えば、今度は新型インフルエンザである。しかし世の中の不景気は一向に改善される気配がない。卒業シーズンは終わり新年度がスタートしたばかりだが、これから就活しなければならない学生諸君には誠にお気の毒としか言いようがない。最近は企業の採用の手控えから、資格の取得を目差す学生が増えている。
 趣味の世界では、高齢化社会に対応してカルチャークラブが大流行である。お茶にお花、詩吟に舞踊、等々。それぞれ免許皆伝になると、師範や名取りなどと呼ばれるようになるが、昨今は○○流ではなく、○○協会による検定が人気のようである。漢字能力検定協会は別の意味で大きな話題を提供してくれたが、そもそも検定による資格とはどれほどの意味があるのであろうか。何かの業務を遂行するために、合格ラインや等級が必要なのかもしれないが日進月歩の技術革新の中で過去の資格は瞬く間に陳腐化してしまいそうだ。
 昔は検定といえばたかだか、そろばんか簿記ぐらいしかなかった。寺子屋の延長なのか、多くの庶民が通っていたようで、それなりに履歴書にも書く値打ちがあった。しかし今では英語検定から何とかコーディネーターなど雑多な認定がありすぎて、評価する側もそのことをそれほど重要視しなくなったように思われる。それでも商魂たくましい検定協会の活躍により、現代人はこの不況の中にあっても、習い事に多忙を極めている。まさに百花繚乱のカルチャービジネスである。おまけに名ばかりの公益法人にして利益還流型の組織作りをする最近の風潮は許しがたい。
 私達は必ずしも資格を持ち合わせているわけではない。手に職をつけているだけである。手に職をつけたら食いはぐれが無いというような生易しい世の中ではないが、人々の暮らしにとって大切なもの、かけがえのないものを創造していく喜びは、職人の道を全うしようという努力や巧みの技を究めようとする志がもたらしてくれるのではないかと考えている。そんな職人達の集団と自負している「風土木の家」は利潤の追求を目的とする事業協同組合であるにもかかわらず、儲からない事業ばかり展開している誠に健気な集団であると、手前味噌ながら評価している。
真摯に伝統工法の存亡を憂い、地域材の活用を願い、環境と健康に配慮した家作りを言い続けているこの仲間は素晴らしい集団だと誇りに思います。今年で発足5年目になりますが、これからも知恵を絞って皆様のお役に立ちたいと思います。どうかよろしくご支援いただきますようお願い申し上げます。

                         文責 川副宇八


お遊びです。風土木の家漢字検定です。挑戦してみてください。

ステップ1
    梅    桃    栗    柿    柚                  杏    梨    李    橙    檎            
ステップ2
    松    杉    桧    欅    栂          槇    樫    桜    桐    柳          
ステップ3
    椿    榎    楸    柊    棟
   栖    楠    柏    横            
ステップ4
    桑    楮    樺    椰    樟               榊    樒    樅    楡    桂 
ステップ5
    栃    橅    椎    楢    檪              椛    楓    梓    柘    橘 
ステップ6
    梁    桁    楔    櫞    杭
   束    框    椽    櫓    楼


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VOL.5 ふるさと一番

「それぞれのふるさとに、それぞれの一番がある。」
某テレビ局がお昼の放送で発するキャッチフレーズであるが、改めて噛み締めてみると、なかなか味わいのある言葉である。我がふるさとも、さて何が一番なのかと自問してしまうところが味噌なのであろう。
 先日の放送では熊本市川尻地区が取り上げられた。400年前から栄えた古い町並みのある土地だが、町の起こりは職人町らしい。プラスチック成形品などなかった時代、生活の必需品である容器は木製品であった。それを造る職人は桶屋と言い、川尻では良質の桶が生産されていた。桶屋が良い仕事をする為には、道具をフォローする刃物が必要となってくる。町には桶屋につられて、すぐれた刃物屋が誕生してきた。桶や刃物が地場産業として成長してくるとそれを商う商人が財を成し、町自体が発展する。全国各地に小京都といわれる地域が存在するが、小京都と云われる地域には少なくとも独自の文化が生まれている。それは工芸であったり、芸能であったりするのだが、川尻でも町に訪れる人を饗応するための和菓子製造や、華やかさへの憧れを満たすための染色が産業として派生している。
 「風が吹けば桶屋が儲かる。」という言葉はよく耳にするが、桶屋が儲かれば町が元気になるという話は初めて聞く。これは見事な職業連鎖の代表例であろう。(豊田市や日立市なども一企業を核とした職業連鎖と言えなくもないが、自然発生的相乗効果の点で異質である。)
 町の発展にはさまざまな形態(門前町、市場町、宿場町等)があるが、村おこし町づくりには、キーワード、キーパーソンが重要であると言われている。我が故郷には何があるだろう、滋賀には大きな琵琶湖がある。水不足に悩まされることのない安心と、風光明媚な自然環境にとっぷり甘えているような気がしてならない。生活する上で厳しい環境の人達はたくましく創造的に知恵を働かせている。そうした努力があるから、他へ発信できる情報や、人を感動させる生き方が生まれるのではないだろうか。滋賀県では琵琶湖という大きな水がめが、個人で水を大切にしなくてもいいほど贅沢をさせてくれている。滋賀の山を守らなくても特別に不自由はしていない。しかし見えない所でぢりぢりと自然は悲鳴をあげている。
町づくりのキーワードに今や「自然を守る」をなしには考えられない時代となっている。自然を守ることが自分の暮らしを守ることと、切迫して考えられない豊かさは本物の豊かさといえるのだろうか。ほどほどに裕福で、自然災害も少ない、いわば暮らし易い滋賀で生活の知恵を絞ることの困難は贅沢と言えるだろう。しかし一歩進んで考えてみよう。
本当に自然と共生しているだろうか。
真に人間らしい生活をしているだろうか。
物の豊かさから心の豊かさの時代といわれて久しいが、相変わらず我々は経済的に、物質的に窮々としている気がする。東京砂漠とまでは言わないが、潤いのない生活からなかなか脱し切れないでいる。何が欠けているのだろう。全く経済的に困窮していては話は別だが、こだわりであろうと思う。生き方にこだわり、物にこだわる(ブランド物にこだわっている人がいるが、単なるブランド名ではなく価値を評価できることが重要であろう)、例えばプラスチックの桶ではなく桧の香りがする木桶が楽しめたら、人生はどんなにか豊かであるような気がする。その最たるものが住まいであろうと思う。自然と触れ合える環境で、こだわりの家に住み、人間らしい生き方をする。そんな夢をかなえる為に誰もがキーパーソンになり、こだわりの町づくりを推進すればその豊かさが、それぞれの一番である。川尻の町の豊かさはそんな職人たちの思いが今に活きづいているような気がする。こだわりが町を変えます。山を元気にし、湖をよみがえらせ、地域の人の心を豊かにします。私たちは地域の誇りを発信していかなければならない。
                               文責 川副宇八

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